登録: 2012年 5月 30日
選挙運動と政治活動
■選挙運動と政治活動の違いは?
政治上の目的をもって行われるいっさいの活動が政治活動といわれています。
広い意味では選挙運動も政治活動の一部なのですが、公職選挙法では選挙運動と政治活動を理論的に明確に区別
しており、それらを定義付けすると次のように解釈できます。
【選挙運動】
特定の選挙に、特定の候補者の当選をはかること又は当選させないことを目的に投票行為を勧めること。
【政治活動】
政治上の目的をもって行われる一切の活動から、選挙運動にわたる行為を除いたもの。
■選挙運動はいつからできる?
選挙運動は、公示日(告示日)に立候補の届け出をしてから投票日の前日までに限りすることができます。それ以外の期間、たとえば、立候補届出前にする選挙運動は事前運動として禁止されています。
■候補者が行う選挙運動とは?
公職選挙法により認められた候補者が行う選挙運動は、ポスター等の印刷物や演説会等の言論などによって行われますが、その方法の主なものは次のとおりです。ただし、選挙の種類により、その方法あるいは数量や規格などが異なるものがあります。
○選挙事務所の設置
○選挙運動用自動車の使用
○選挙運動用はがき
○新聞広告
○ビラの配布(衆議院議員及び参議院議員選挙に限る。)
○選挙公報
○ポスターの掲示
○街頭演説
○個人演説会
■三ない運動
「三ない運動」という言葉をご存じでしょうか。
「三ない運動」とは、「贈らない・求めない・受け取らない」ということです。つまり、「三ない運動」とは、寄附に関係のあるような行為をしないようにしようという運動なのです。
公職選挙法は、現に公職にある者、候補者及び候補者になろうとする者は、その選挙区内にある者に対して、いかなる名義であっても寄附をしてはならないと定めています。
また、公職にある者や候補者などに対して寄附の勧誘や要求をすることも禁止されています。「贈らない・求めない・受け取らない」を常日頃から心がけるようにしてください。
■選挙活動に関する禁止・制限事項
次のような選挙運動は禁止されています。
⇒戸別訪問の禁止
誰であっても、選挙での投票依頼などを目的に、計画的に継続して戸別に家を訪問することはできません。家だけでなく会社・工場・事務所などに行って、選挙での投票依頼をすることも戸別訪問となります。
⇒署名運動の禁止
誰であっても、選挙での投票依頼などを目的に、選挙人に対して後援会加入などの署名運動をすることはできません。なお、任期満了による選挙があるときは、選挙での投票依頼などを目的としない直接請求のための署名運動であっても、その選挙区内では、任期満了日の60日前から投票日までの間は禁止されます。(衆議院の解散の場合は、解散の翌日から投票日までの間)
⇒飲食物の提供の禁止
誰であっても、選挙運動において、食べ物や飲み物を提供することはできません。ですから、候補者が飲食物を提供することはできません。また、第三者が候補者に陣中見舞いとして飲食物を届けることもできません。ただし、日常用いられる程度の湯茶や、お茶うけ程度の菓子、果物などは認められています。
⇒陣中見舞い
「陣中見舞い」は、個人から候補者への選挙運動に関する寄附とみなされます。1個人から1候補者への選挙運動に関する寄附は、年間150万円以内で、物品または金銭・有価証券でもできます。ただし、選挙運動に関するものとして、飲食物(料理・弁当・サンドイッチ・お酒・ビール・ジュースなど)を提供することは禁止されていますので、注意してください。ですから、選挙事務所開きにお酒やビールを提供することも違反になります。ただし、湯茶に伴い通常用いられる程度の菓子(せんべい・まんじゅう・みかん・りんご程度の果物など)は提供することができます。なお、企業・労働組合などの団体は、候補者に対して寄附をすることができません。
⇒選挙後のあいさつ行為の制限
選挙が済んだら、自分を支持してくれた選挙人に対して、お礼のあいさつぐらいしたいものですが、公職選挙法では、これらのあいさつ行為にも制限が加えられていますので注意しなければなりません。
誰であっても、選挙後は、選挙人に対して、当選または落選に関してのあいさつをする目的で、次の行為をすることができません。(選挙後とは、投票日当日の投票所が閉ざされた時刻以降のすべてをいいます。)
⇒制限のあるあいさつ行為
次のものは、選挙後、禁止されていますのでご注意ください。
→選挙人に対して、戸別訪問をすること。
→文書図面を頒布したり、掲示すること。
→新聞紙・雑誌を利用(広告)すること。
→放送設備を利用して放送すること。
→当選祝賀会、その他の集会を開催すること。
→自動車を連ねたり、隊伍を組んで往来したりして、「気勢を張る行為」をすること。
→当選したお礼として、当選人の氏名、政党・政治団体の名称を言い歩くこと。
■さしつかえのないあいさつ行為
・自筆による信書(不特定多数人に宛てた文書は禁止されます。)
・選挙人からの当選の祝辞、落選の見舞いなどの答礼のための信書(自筆でも印刷でも、さしつかえありません。)
⇒あいさつ状
政治家は、その選挙区内にある者に対して、年賀状などのあいさつ状を出すことが常時禁止されています。ここでいう「政治家」とは、公職の候補者となろうとする者、現在公職にある者をいいます。
■禁止されているあいさつ状
→年賀状
→暑中見舞い
→残暑見舞い
→寒中見舞い
→余寒見舞い
→クリスマスカード
→「喪中につき年賀のあいさつを失礼します」という欠礼状
→年賀電報
→電子郵便(Eメールなど)による年賀状など
■禁止されていないあいさつ状
・弔電
・各種の大会などに対する祝電
・答礼のための自筆によるもの(※)
※次のようなものは、「答礼のための自筆によるもの」として認められません。
→時候のあいさつを印刷したものに住所と氏名だけを自署したもの
→自署したあいさつ状をコピーしたもの
→ワープロ・パソコンで作成したあいさつ状
→自署したあいさつ状をファックスで送信したもの
→答礼していない昨年の年賀状に対して、今年答礼するもの
⇒当選祝い
当選した候補者に、これからの政治活動に期待して、「当選祝い」のお酒等の物品を持っていく場合の「当選祝い」は、個人から候補者への政治活動(選挙活動を除く)に関する寄附とみなされます。1個人から1候補者への政治活動(選挙運動を除く)に関する寄附は、年間150万円以内で、物品等によりできますが、金銭・有価証券ではできませんので、注意してください。また、これは選挙運動に関する寄附ではないので、飲食物の提供も可能です。ですから、当選祝いのお酒等の飲食物を当選した候補者に提供することはできます。
しかし、当選した候補者がもらったお酒を選挙区内の人(親族※を除く)に振舞うと、候補者からの寄附(公職選挙法第199条の2違反)となるおそれがありますので候補者は注意しなければなりません。
なお、企業・労働組合などの団体は、候補者に対して寄附をすることができません。
※…6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族
【参考法令】
同一の者に対する寄附の制限
個人のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、150
万円を超えることができない。
公職の候補者の政治活動に関する寄附の禁止
何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に
対するものを除く。)をしてはならない。
飲食物の提供の禁止
何人も、選挙運動に関し、いかなる名義をもつてするを問わず、飲食物(湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の
菓子を除く。)を提供することができない。
公職の候補者等の寄附の禁止
公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問
わず、寄附をしてはならない。ただし、(中略)親族に対してする場合(中略)は、この限りでない。
会社等の寄附の制限
会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体並びに資金管理団体以外の者に対しては、
政治活動に関する寄附をしてはならない。
⇒選挙妨害
候補者についてデマをとばしたり、候補者・選挙人・選挙運動員を脅したり、演説・集会・交通等を妨害したり、選挙用のポスターを破ったりして、選挙の自由を妨げると処罰されます。
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